4/1弁護側弁論②

<地下鉄サリン事件>
被告人は、サリンやそれに匹敵する猛毒を散布することを知りながら、中目黒に豊田を送り届けたのか

*3/17尊師通達
林泰男・豊田・広瀬・横山・林郁夫の5名を条件付きで正悟師に認めた
正悟師になるためには、マハームドラーの成就が必須
マハームドラーとは…
グルが弟子に無理難題を指示→これを乗り越えることで帰依深める
弟子の煩悩やカルマを断ち切るため
課題の内容を知らなければマハームドラーにはならない
村井:「地下鉄にサリンを撒く。断ってもいいんだよ」
運転手役の5名(杉本・外崎・北村・新実・被告人)はマハームドラーではない
新実はすでに正悟師
マハームドラーではない=サリンのことを知る必要がない
広瀬:運転手が知ってなければいけないのは、送迎先待ち合わせ場所
泰男:だれをどこまで送るか
外崎:目的はきかない
北村:運転手はタクシーと同じ

3/18朝(未明)
麻原・井上らのリムジン謀議←この法廷で証言したのは井上だけ
地下鉄にサリンを撒くというこが決まる
この時点では運転手役というアイディアはない
3/18昼
井上と林泰男が相談し、運転手というアイディアが出る
名前が挙がったのは、杉本・平田信・T
3/19昼過ぎ
被告人を含めた5人が決まる
井上:村井が言って、麻原が決めた
3/19 19時ころ
被告人が井上から運転のワークを告げられる

上祐:秘密のワークについては、情報統制されていた
サリンはとりわけ秘密のワークである
泰男:第七サティアン自体が秘密
中川:省庁制大臣クラスの一部しか知らない
杉本:サリンプラントでは外出も禁止
被告人はサリンの隠語も知らない

今川の家にて
井上:島田事件前に、今川のこたつの部屋で被告人にサリンをまくと説明した
→しかし、被告が今川に来たのはこれよりも後で、渋谷へ移動する直前
他の証人が被告を見たことを記憶しているはじめての場面
広瀬:渋谷へ移動するよう言われて乗り込んだ車の中
林泰男:今川を出るとき
杉本:渋谷へ移る直前
豊田:渋谷へ移るちょっと前
こたつ部屋で被告を見たかどうか
広瀬:いた記憶はない
林泰男:いない
杉本:いたという記憶はない
平田信:いない
T:今川では見ていない

井上:「科学技術省の担当でサリンをまく。トキシンとは違う別物」と説明した
→しかし弁護側の反対尋問では
井上:サリンという言葉は印象として、使った印象、明確に言ったと言ってしまったが、それは言い過ぎ

何が言いたいのか全く分からない、不思議な証言
また、井上には嘘をつく理由がある
・自分の関与を薄めるため
・科学技術省のワークと主張することで、自分はただの伝達役だったと主張したい
本当にそうでしょうか
井上意外の全ての証人:井上の支持だった

井上:運転手役は林泰男が決定した。自分は科学技術省の人選には口出し出来ない
泰男:自分が運転手の人選を考えたことはない
井上:知らない間に科学技術省の人が今川に来ていた
泰男:「準備ができたら今川に来て」と井上から言われた
井上がただの伝達役なら林に伝言を頼めば良い、島田宅で自爆の可能性もあるのに
どうしてわざわざ渋谷へ移動したのか
井上:科学技術省の人選に口出し出来ない
→今川から島田宅事件に泰男を連れ出していることと矛盾する

井上:ジフロのことは知らなかった
中川:残っていたジフロとVXは井上に保管を依頼した。その後今川の納戸の中の冷蔵庫に目張りがされているのを見た

今川:自分は取りまとめ役ではないので、ペアを報告したのみ
他の証人:担当路線、時間、ペアについて指示を受けた
リムジン乗り込んだ理由
井上:松本剛の指紋除去について麻原から許可を取るため
中川:3/17に時点で松本に指紋除去を行う話は聞いていた
林郁夫:井上から指紋除去の依頼を受けたのは3/17

渋谷ホームズにて
ホームズにいたのは11人
そのうち、今回の法廷で証言したのは10人
そのうち、「全体の前でサリンという言葉が出た」と主張しているのは2名
林郁夫・広瀬

広瀬がサリンという言葉が出たとする場面
広瀬:井上が島田宅事件からホームズに戻ってくるなり、「サリンをまく量が増えた
た」と言った
↓井上が戻った場面の様子についてその他証人の証言
新実:井上は「明日新聞に載るようなことをやった、ヒミツヒミツ」と発言した。その後小部屋で2人きりになったときに、サリンについて話を聞いた
林泰男:躁状態で、「新聞に出る」と言っていた
杉本:「新聞に出る」と言っていた
井上:ちょっとはしゃいでしまいました
もしこのテンションの延長でサリンと言ったら、みんな聞いているはず

広瀬:村井から林泰男に電話があった後、泰男が「村井がサリンを取りにこいと言っている」と発言した
↓これに対し、他の証人
林泰男:サリンと入っていない(断言)
新実:サリンではなく、モノと言った
井上:林はモノと言った
豊田:わからない
林郁夫:モノと言った
外崎:モノと言ったかもしれない

広瀬:上九からサリンを持ってホームズに戻った後、豊田が「サリンを取りに来てくださ〜〜い」と、隣の部屋に聞こえてしまうのではないかと心配になるほど大きな声で言った
↓この証言も他の証人とは食い違う
豊田:サリンという単語を使った記憶はない
林泰男:豊田が大きい声でなにか発言をしたことはない
新実:豊田は「モノを取りに来てください」と言った
外崎:サリンという言葉はなかった
我々は東京拘置所で豊田を見ました。彼が、サリンという言葉を不用意に口にするような人間に見えましたか。

林郁夫がサリンという言葉を聞いた場面
郁夫:ホームズでの話し合いで実行時間を8時と決める際、「サリンが充満する時間」という言葉を使って話し合った
↓この証言は郁夫のみ。他の証人は実行時間は上九で村井が決めたと証言
広瀬:実行時間は村井から言われた
林泰男:上九で村井から言われた
杉本:今川で8時と聞かされた
また、「話し合い」というのもユニークな証言
その他の証人:ホームズで話し合いはしていない。井上からの伝達のみ
杉本:井上が意見を求めたり、意見をしたことはない
郁夫:誰かがサリンという言葉を使ったのは断定できる。自分がサリンという言葉を使った。
しかし、H24.7.4高橋逮捕後の検察官調書では
郁夫:断定できるまでの記憶はない
自分がサリンと言った等の記載はなし
豊田:もともとサリンと知っていたから、どのような証言でもサリンと分かる

それぞれがサリンを知ったとき
3/18am 実行犯5名(泰男、豊田、横山、郁夫、広瀬)
3/19昼 杉本:広瀬と2人のときに聞いた。広瀬は答えに散々迷い、サリンと言った
3/19夜 北村:下見に行ったとき、AHIに行って分かった
↑いずれの場面も高橋は不在
被告:誰にも聞いていない。誰からも説明を受けていない
豊田:被告人に説明していない。聞かれていない
→これが教団のルール

郁夫が実行役に注射器を渡す場面
郁夫:実行役それぞれに近寄って渡した
外崎・北村:注射器は見ていない

実行後
中川:高橋から「松本サリンも教団がやったとしか思えないんだけど…」と言われた
4月初旬
山形:高橋が「あんなことになるなんて思ってなかった。もう俺死にたいよ」と言っていた
被告人がVXで浜口さんが亡くなったと知ったのは1995/5以降
それまではVXもレーザーもアタッシュケースも、当てにならないと思っていた
1.VX事件では、遠藤が素手でスポイトで鞄へ注入しているところを見た
2.酸素ボンベも効果的なものではなかった
サリン事件についても同様の考え
高橋:ホームズで見た茶褐色の液体はたぷたぷした頼りないビニール袋で、誰かが素手で持っていた。
私だったら、漏れてると聞いたら一目散に逃げ出します
このような光景をみて猛毒だと考える人はいない

サリン実行後
豊田が被告の運転する車に乗り込み運転を開始すると、被告に涙や鼻水の症状
高橋:豊田が「足で踏んだ」と言ったので、車の窓を開けた
→もし、毒だとしたら運転を続けますか?
渋谷ホームズへ到着
郁夫:高橋の方から「注射を打って」と言ってきた
↓しかし、H7.5.7,H7.5.19の調書では
郁夫:(被告の写真を見せられて)見た顔ですが、サリン事件のメンバーの中には入っていなかった。渋谷に集まったメンバーには高橋はいない
自首直後にこのように発言していた人の現在の証言を誰が信じますか?

健康被害の認識ー暴行傷害の故意ー
アタッシュケースもなにも起きない
サリン事件でも認識はなかった

<都庁爆発物事件>
①人の死をもたらす現実的危険性があったと言えるか
②被告人は人が死ぬ危険性の高い行為だと認識し、あえて行ったと言えるか

①問題はRDXの量
RDXを入れたケースが5cm×7cm×1.5cmだったという証言は中川のみ
豊田:4×7×1cmくらい
中川:2...あ、1.5cmくらいですね。
中川:ケースの大きさは、事件から一定期間経過後、記憶で答えた。4cmではなく5cmだと明確に言えるわけではない
5cm×7cm×1.5cmの場合、ケースにすりきり一杯で約17.7g
中川:7~8割程度だった→12~14g程度
4×7×1cmの場合、7~8割で7g程度

製造
生成の際、混合物を0℃に保つことや熱湯処理を行っていない
→不純物が混じっていた
RDXの純量はさらに少ない
中川RDXと工藤RDXの違い
(工藤さんは都庁爆発物事件で検察側証人として出廷した科捜研の科学者)
中川RDX
・台所で生成
・鍋に氷を張り、ガラス棒で混ぜた
・ウロトロピンの投与に掛かった時間は数十分
工藤RDX
・実験室で生成
・テフロン攪拌?を使用
エチルアルコール洗浄を行う
・専用機械を使用
このような生成の環境の違いにより、科捜研生成のRDXは純度が高い

徳野証人(弁護側証人):RDX10gでは人は死なない
RDX10gを体から10cmの距離で爆発させたら、肋骨が折れる程度
99%死亡のためには340g必要
50%死亡のためには189g必要
この議論の論点は、"爆発衝撃波による人体への危険"
徳野証人…まさにその分野の専門研究をしている医師
工藤証人…科学技官

「反射圧」VS「静圧」
人体への影響は反射圧で考えるのか、静圧で考えるのか
工藤:直接的に作用するのは反射圧
↑徳野:これはよくある誤解。人体へが影響あるのは持続時間のある静圧。反射圧は影響しない
工藤:死亡目安とされる5kg/㎡は反射圧計算
↑徳野:圧による損傷を論じる場合は世界共通で静圧
工藤:近いところで起こる爆発は反射圧で考える
↑徳野:初めて聞きました

距離の三乗根で圧力は減少する
内海さんの肺には全く損傷はなし
中川:直径2mmくらいの鉛玉が100発くらいあった
徳野:鉛玉を入れていればなくなる可能性はあった
工藤:乾電池は高速で飛べば威力がある
↑徳野:電池は重いので、10~20gのRDXでは体を抜けるスピードは出ない
死の現実的危険について
徳野:戦争のような特別な状況で、治療を受けられなければ命を落とすことはあるが、通常の救急医療の現場では命を落とすことは非常に少ない


麻原の支持=騒ぎを起こすこと≠殺人
中川:麻原からの指示は殺人を起こすこと
井上:捜査撹乱が目的。これで人が亡くなってしまった場合はポアにはならないかもしれない
泰男:高橋に対して「井上が呼んでいる」と告げたとき、高橋は大変怒って食ってかかるような感じだった
高橋:発火装置を作ったという認識
井上:「電気じかけの発火装置」と言った
中川:2種類の爆薬を使うと言ったが、軍用とか威力については言っていない。取り扱いの注意も言っていない
井上:具体的な説明はしていない

RDXをはんだごてに落として実験した際
豊田:パチパチと火花が散った
井上:かやくがチリチリとした
中川:何かぶわっと、火に紙をくべたときのようにめらっとなった
鉛玉を入れるかどうかの際、高橋は犯罪マシーンの井上に反対したと言える
中川:正直にそんな威力があったのかと思った。思っていたよりも非常に重い怪我だった