3/19カルト・マインドコントロールについて(証人:西田公昭)①

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証人:西田公昭(社会心理学者)

証人の経歴
関西大学大学院卒業
現在は立正大学教授
所属学会
日本心理学会
グループダイナミクス学会

日常生活の場面での環境の認識についての学問
どんな環境で、なにを考えて、どう行動するのか

オウム事件との関わり
証人出廷は8ケース程度
1996年以降、アンケート(74人)と面接(30〜40人)で、当時の心理状態がどのようなものだったかについて調査
ーなぜ入信したのか、犯罪に関わるまで、脱会後の問題について
オウム被告人の心理鑑定を担当
担当した被告は、H・S、横山、井上、遠藤、広瀬、豊田、端本、平田信、高橋、もう一人すでに出所した人

カルトについて
本来は「カルト」に批判的な意味はない
破壊的カルト=反社会的で人権侵害が行われている
所属するメンバーの特徴とは?
自分の信念には素直
独善的
しかし、入信前はそういった性格ではない
オウムは典型的な破壊的カルト

ビリーフシステムについて
ビリーフシステム=意思決定の神経装置
トップダウン情報処理
意思決定
ボトムアップ情報処理
感覚受容器=目、耳、鼻などから得るもの

ビリーフとは
意思決定のための日用道具
下記の5つのスキーマが意思決定に使われる
・理想スキーマ
・因果スキーマ
・目標スキーマ
・自己スキーマ
・権威スキーマ

我々の社会にいる時は、我々と同じ常識を持っていても、破壊的カルトに入ることで常識が置き換えられていく
手順
ビリーフシステム
|1,新たな装置を入れる
|2,古い装置を恐怖で使えなくさせる
↓3,体力消耗で古い装置を遠ざける
意思決定
↑1,特定の情報を与え続ける
|2,我々社会の情報との接触を絶つ
|3,体力消耗を機能不全にさせる
感覚受容器

カルト入信は、部屋の模様替えのようなもの
1,自分の考え(ビリーフシステム)では、悩みが無くならない、戦争が終わらない
2,黄色い世界に赤い家具をもらって、外に置いておいたけど、使ってみようかな、と思う
3,この赤い家具はかなり良いもの、世界平和や全人類の幸福を謳っている
4,その模様替えに自分が合っていく
出入りするグループに馴染み、一般常識がどうでも良くなる
→文化適用

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③の状態から①に戻すのは、非常に大変

カルト支配による自己封印システム

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愛・恐怖:カリスマ的権威(優しくも厳しくもあるリーダーに身を委ねる)
目的・誓い:卓越した信念のシステム(卓越とは良い意味ではなく、殺人もできるような論理があること)
同一化・内面化:影響システム(先輩やトップのようになりたいという思い)
義務・罪:統制システム(自分の役目を果たす責任がある)

オウムのビリーフシステムとは?

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自己:現在が煩悩があるが、救済可能な修行者
権威:正当仏教、解脱者の教祖や教団だけが正しい道にある
目標:各修行ステージの成就にための修行、勧誘、献金、絶対服従
因果:輪廻転生、密教的世界観、ハルマゲドン、現世の崩壊
理想:絶対的歓喜やユートピア社会の到来

上記のすべてを受け入れると、すべてが繋がっている
一つだけ受け入れるというわけにはいかない
振り回されるのはやめて自分が変わるべき、という考えに変わる
これは幻想に過ぎないが、一見もっともらしい

車の運転の理由を聞かないということはあり得るか?
あり得るもなにも、それが基本
煩悩まみれの自分が、なにか考えて行動すること自体がおこがましい
やりたい、やりたくないと考えること自体が煩悩