3/11都庁爆発物事件(証人:中川智正)②

その後、被告人がルミエールセゾンに来た
私と話しはじめた時点で、起爆装置の電子回路について検討することは被告人も理解していたと思う
被告人との会話の場面で口を挟んだ人はいない
オリジナルの記憶では2人きりだった
話し合いの内容は、爆発のタイミングのための電子回路を作る方法
起爆作業をしなければいけないということ
電流が流れる仕組みを考えなければならなかった
その際自分が「タイマIC555」という道具の話をしたら、被告人が「よく知ってますね、ヴァジラテッサ師も使ってたんですか?」と言ってきたことを覚えている
機械設定式スイッチを使うことになった
これは、2枚の金属板を接触しないよう電気を通さないものを間に挟んで設置し、それを取るとスイッチがオンになるというもの

この話し合いでは、自分が初めに求めるものの概略を説明し、その後2人で考える流れだった
スムーズに話し合いが出来たが、被告人の様子がおかしかった
雰囲気が良くなく、私としては気を使って話した
タイマIC555の会話以外は、被告人はずっと無表情でいい感じではなかった

4/26それぞれが買い出しに行き、買った部品を持ち寄った
外出先で被告人に坂口電熱について電話をしたことがあった
そこでグロープラグという部品について話した
グロープラグとは、小指の第一関節くらいの大きさの湯のみ形の金属
ニクロム線をはんだづけして通電させるような道具
実際に起爆装置に使用した
爆薬は簡単には爆発しないので、アジ化鉛をニクロム線に付着させ、通電の際の爆発で爆薬が爆発を起こす仕組み
グロープラグについて自分は知らなかったので、こんないいものがあるのかと思った

爆発物の製造と同時進行で、豊田と青酸ガスを生成していた
生成した量は量っていないが、理論的には最大で700g
これは、人が吸入した場合、1000人以上の致死量のものだった
青酸ガス事件は4/30、5/3、5/5に3回仕掛けたが、すべて失敗した
自分は青酸ガスに作成も設置も関わった
この失敗という結果を知ったあと、虚脱状態になった
騒ぎになったし、人が死ななくて、それはそれでよかったという感じもあった
しばらく、精神・肉体的になにも出来ない状態だった
その後、I・Eからメッセージが届いた
1、一週間以内になにが起きても、心を動かさないように
2、有能神が怒っている
というものだった
これについて自分は、
1、麻原が逮捕されるのだろうという予言
2、麻原の逮捕に対して、神が怒る
と解釈した
そして、事件を起こすしかないと思った
この有能神メッセージを、麻原が怒っていると解釈して証言している人がいることは知っているが、自分はそう思わなかった

送付する爆発物の形状については、被告人のいないところで書籍型にすることを決定していた
5/5以前に、林泰男が本を調達していた
本をくり抜く必要があること、また組み立ての際に被告人にいてほしいことを林泰男に伝えた

5/9の夜から、私と豊田でRDXの生成を開始
どちらか一方が作業をし、もう一方が助手をするという感じ
私の方が慣れているので、はじめに手本を見せて真似してもらう流れだった
RDXは、軍で使用されるような爆薬
ホームメイドセムテックスという洋書を参考に生成した
①大きなビーカーに硝酸を500g入れる
②それを大きな鍋に入れ、そのまわりに氷を入れる
③ウロトロピン45gをゆっくり加えてかき混ぜる
④これを別の氷水に流し込むと、RDXが浮いてくる
はじめはRDXが浮いてこず、失敗かと思ったが、その後浮いてきた
⑤ペースト状もRDXをすくい上げ、ろ紙にとって数回洗う
洗うことで硝酸を落とし、容器の腐食や勝手に爆発することをを防いだ
⑥硝酸が除けているか、pH試験紙で確認

その後、ペンスリットという爆薬の生成を開始
ペンタエリトリトールと濃硝酸を使用した
ルミエールセゾンに警察が張っているという話があったが、ルミエールの台所は、流しや換気扇、コンロがあって爆薬生成によい環境だった

ペンスリットとRDXについて
RDXのほうが2倍の濃硝酸が必要
ペンスリットは別に使う予定があった
青島知事宛の郵便物ではRDXを使用
どちらを使うか選択する際、相対有効性を調べた
ペンスリットでは1.66、RDXでは1.5と書かれていた
この数字の意味は全く分からなかったが、低い方を選んだ

5/10夕方、被告人がルミエールセゾンへ来た
工具箱とくり抜いた本を持っていた
この本は一見普通の本で、開けると四角形にくりぬかれている
ハードカバーで20cm×14cm×2cm程度のもの
それを見て、自分でくりぬかなければいけないと思っていたが、手間が省けたと思った
被告人はくり抜く作業を自分でやったとも誰かにやってもらったとも言っていない

回路については、ケースの中に爆発物を入れ、グロープラグを差し込んで固定
そこからリード線を出して、本を開いた時に爆発するようにした
紙から糸を引っ張り、本の表紙にくっつけて、開いた時に意図が緊張して紙が抜けるような仕組み
話し合いも工作も、M・Sさんの部屋で行った
その後、ペンスリットとアジ化鉛を豊田と一緒に生成した

アジ化鉛とRDXを使用することについて被告人に伝えたか?
2種類の爆薬を使うことは伝えた
それ以上のこと(RDXとアジ化鉛という言葉)を伝えたかどうかは分からない

5/10夜9時から台所でアジ化鉛を生成し、5/11AM3時くらいまで作業を続けた
アジ化鉛は非常に敏感な爆発物
10gを目標に作ったが、結局耳かき一杯分、1gもないくらいだった
ちょっと濁った灰色のような粉で、性能については確認していない

アジ化鉛を生成した後、井上がRDXの乾燥をドライヤーを使って行なった
2時間くらいかかった
11日の朝、自分が被告人の部屋に行くと、横になって休んでいた
グロープラグをくださいと言うと、渡してくれた
出来上がった物の形をみて、RDXを入れるケースを探した
豊田が、書類を止めるクリップのケースをくれた
7cm×5cm×1.5cmくらいのプラスチック容器
5cmのほうの側面に穴を開けた

この時点で鉛玉もいれるかどうか決定する必要があった
鉛玉を入れれば、殺傷能力が高まる
井上のところへ相談へ行った
中川「鉛玉を入れれば確実に相手が死ぬ、どうするか?」
井上「い、いれたらええんちゃう?」
いきなり関西弁になり、どもった
言葉を標準語にすれば「入れたらいいんじゃないか」ということになるが、顔も引きつっており、判断に困った
その後被告人に相談した
中川「どうしよう、アーナンダ師は入れたらいいって」
被告人「やめよ、やめよ」
苦いものを舐めるようなしかめっ面で、二回手を振るような動作をして、そう言った
自分はそれを聞いて、井上に伝えに行った
中川「スマンガラ師が入れなくていいって言っている」
井上「それでいい」と標準語で言った

その後、一人でケースにRDXを全量入れた
平らに入るようにポンポンとはたくように詰めたら、粉が煙のように舞った
生成されたRDXの量は、単純計算では70g
ケースの6~7割くらいの量になった


〜〜〜〜〜わたしの傍聴記録はここまで〜〜〜〜〜
実際はさらに4時間弱ほど続いています